美容室NANEA 代表 染谷初さん




NANEA
染谷初さんは、守谷市松並にある美容室NANEAの代表で、19991月に最初のお店をオープンし、3年半ほど後、現在の場所に移転した。NANEAとはハワイ語でリラックスという意味だそうだ。
その名の通り、南国のリゾートホテルのような雰囲気を持つ美容室で、その場にいるだけで心身ともに美しくなれるような気がする。
染谷さんがこだわるものには、はっきりとしたビジョンがあるそうだ。
店内では空気までリゾートのように感じるのだが、そのビジョンがあればこそなのだ。
 そんな空間を実現し、一見、美の追究だけに余念のない印象を持つが、その経営理念には「地域社会に貢献」の文字がはっきりと書かれている。
実際、市内にあるグループホームでボランティアカットをしたり、この大震災では、地元の人々に声をかけ、支援物資を幾度となく集め被災地に届けている。

さらにスタッフと被災地に赴き、ボランティアカットやヘドロのかき出しなども行った。現在も義援金メニューを設け、先日80万円を超す義援金を日本赤十字社に届けた。
そんな理念の根底は何なのだろう。

きっかけ
「地域貢献」を明記したきっかけは、社員旅行に北海道に行った際、「桜CHOPS」という居酒屋さんを訪れ、インスパイアされたこと。
(経営元の(株)さくらファミリーは、理念に関わる人が幸せになることを掲げ、社会貢献活動も積極的に行っている。)
自分たちも企業としての立場を明確にする必要を感じたという。

ひと口に地域貢献と言っても内容は多岐に渡り、具体化するのは簡単ではない。そんな中、ボランティアカットはNANEA側から市内にある高齢者施設の「陽だまりの家」に提案された。自分たちの技術を使い、無理なく続けることができる。
そして、なんと言っても楽しいのだそうだ。カットをすると利用者の方々が皆笑顔になる。そして感謝の心が伝わってくる。
「陽だまりの家」もまた、利用者に寄り添った理念を持ち、またそれを見事に実現している施設で、根底に流れるものに共感したからこそ生まれたものだった。

被災地支援も、そんな共感のたまものだと言える。
震災直後、誰もが「何かをしたい」という思いに駆られていた。染谷さんを始め、NANEAのスタッフの方々も同じ思いだったろう。
そこに、染谷さんの友人の方が被災地に支援物資を届けに行くと連絡が入り、それならばできるだけ多くの人に呼びかけたい、とTwitterを利用した。
集まった支援物資は予想をはるかに超え、リゾートのはずの店内が倉庫に一変していた。店は通常営業のままだったため、仕事をしながらの対応。運ぶ為の仕分けや準備は閉店後行われた。
とても大変な作業であったと想像できるが、当時はそれを感じる間もなかったようだ。
ツイートを見た人やお店のお客さまだけでなく、同業者である美容室の方も物資を持ってきてくれたそうだ。市内のお店でも、支援物資なら、と商品を安く出してくれるところもあったそうだ。
心が心を呼ぶ、というのはこのことだと思う。
当時、私も支援物資を出すことで参加させてもらったが、このような活動に大変感謝している一人である。
そしてこの活動は数回に渡り実施され、NANEAのスタッフは今でも、ことあるごとに被災地を訪れている。

そもそも美容師はお客さまが美しくなるのを手助けする仕事で、常に「人のため」を心に持つ。その結果自分がたちが活きるという。毎日の積み重ねの中で、理念に通じる心を持つのだろう。
染谷さんは、理念は言わば人と人を引き合わせる樹液のようなものだと言う。自分の信じることをコツコツと積み重ねると縁に恵まれると。そう話す染谷さんが爽やかに目に映った。