vol.7 みみをすます



− みみをすます −

街と自然が寄り添って存在する守谷市。小高い土地、低い土地があり、樹々におおわれた林もあれば、ひらけた場所もあります。今回は、『みみをすます』というワークショップを各地でひらいている津田貴司さんをお迎えして、守谷の音に耳をかたむけながら歩いてみました。


音を聴く、静けさを聴く、みみをすます。

『みみをすます』は、そんな段階をふんで音に集中しながら、少しずつ心をひらいていく作業をしているようでした。

最初は音を意識して聴いてみます。
ふだん聞き慣れた音は逃してしまいがちで、集中の度合いを高くしないと聞こえてこないことがあります。でも、そんな何気ない音に耳をかたむけることでふだんは意識していなかったものの存在を感じるようになり、感度が少しずつあがっていくのを感じました。

すこし鋭敏になった耳で、次に聴くのは静けさです。
守谷では、街を少し抜けると雑木林や谷津田が広がっている場所がたくさんあります。
今回は、守谷小学校の脇を下っていき、広がる谷津田に出ました。
谷津田は斜面林に囲まれた谷状の土地で、そこを住処とする生きものはたくさんいます。
今回下りた谷津田は、ヨシ原が続き空も広く、音がぬけていくように感じる静かな場所です。
ですが、みみをすましてみると、虫や鳥の声がよく聴こえてきました。最初はまとまって聴こえていた音も「聴く」ことによって一つ一つの音に分解され、存在を意識できるようになります。
津田さんから「次は、何の音かわからないけれど聴こえてくる音、遠くから聴こえるぼんやりした音を聴いてみましょう。」と言われて耳をかたむけると、樹々のざわめきや鳥の声の向こうに、遠く国道の車の音や空全体から飛行機の音が。そういえば、家にいても、ふと遠くから踏切の音が聴こえたりするな、って思いおこしました。

歩きながらも、音の存在を感じるのです。

最後は、みみをすます。
はじめは『みみをすます』ということを、単に「よく聴く」ことだと思っていました。
でもずっと耳を神経を集中させていると、音を気配のように感じてきます。
津田さんに「音に集中しないできいてみましょう」と言われ、難しそうに感じたのですが、何も考えずにたたずむと、耳が音を自然と体の中に取り込みはじめます。とても気持ちよくて、この〝音の風景”の中にいつまでも身をおいていたくなりました。

参加者の感想を聞いて、皆それぞれに「みみをすます」ということの意味を自分の中に取り込んでいたことが印象的でした。ワークショップをきっかけに、ふだんの生活の中でも、今まで気づかなかったことに感覚がひらかれたと感じることがあるようです。



今回のコース
守谷城址公園を出発し、守谷小学校の脇をぬけて谷津田に下り、野鳥の森
散策路をぬけて愛宕中学校からふたたび谷津田に入り公園に戻りました。